2023-02-07
小さな奇跡 #15 言祝ぐ
銀河のごとく 白髪はひろがり
頬にはしみの 星座が瞬く
首に刻まれた 惑星の軌道
重力に従順な ほうれい線
鏡の中のわたしの笑顔は
見知らぬ老婆のようでもあり
無垢な赤子のようにも見える
さあ、いよいよ
次元を超えた輝きを
放つときが来たようだ
子どものころ
地球はつらすぎて
夜空ばかり眺めていたけれど
あのころと同じ星々の煌めきが
今夜は拍手喝采のように聞こえる
ヨクガンバリマシタ
ハナマルアゲマス
たいしたものにはなれなかったけれど
あの日のわたしが
側にいてほしいと思えるような大人には
なれたような氣がしている
いまここのわたしが
幼いわたしをずっと見守りながら
希望の匂いのするほうへと
手まねきしていたことを知る
夜空につながる奇跡の軌跡をいま
わたしはたしかに見ている
魂の言祝ぎを花かんむりにして
涙が流星になった
紅梅の蕾がほころぶような
匂い立つ還暦の産声よ
立春の東風(はるかぜ)に乗って
天までとどけ
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